蒼色のヴァンピール
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都市伝説『都会のヴァンパイア』



「昨日、××市にて若い女性の変死体が発見されました。警察によると、死因は出血死で、体内の血の約三分の二が抜き取られていたそうです。最近、この辺りでは同様の事件が何件か起こっていて…」


「あら、嫌ね。これって隣の市じゃないの」



テレビから流れてくるアナウンサーの声に、母さんは独り言のようにそう呟いた。



「ちょっと、蒼もお父さんも気を付けて下さいね。物騒な世の中なんですから」

「大丈夫だろ。狙われてるのは皆、若い女性みたいだし。そのうち犯人も捕まるさ。なぁ、蒼?」


「うん、だろうね。それに“若い”女なら、母さんも狙われないだろうし」


「そりゃそうだな。お前、良かったじゃないか」



俺と父さんが冗談混じりで笑い合うと、母さんは目を細めて俺たちを睨み付けた。



「悪かったわねぇ、年増で。年増が嫌ならご飯なんて食べなくていいのよ?」


笑い過ぎた、と思ったけど、時既に遅し。


母さんの頭に鬼の角が見える。


俺は慌ててトーストを口に詰め込むと、席を立った。

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