蒼色のヴァンピール
俺の名前は、狗柳蒼と書いて、【くりゅう・あお】と読む。
ちょっと変わったこの名前を除けば、平凡この上ない高校2年生だ。
成績も運動神経も中の上程度。
身長も高からず低からずで容姿も普通。
悩みがあるとすれば、彼女がいないことと、志望校をどうするかってことぐらいだ。
「それにしても、まさか電話までされてるとわなぁ…」
これは近いうちに何とかしないと、母さんの逆鱗に触れそうだ。
大きくため息をつくと、ふいに後ろから声をかけられた。
「あーお!何シケた顔してんの?」
振り向けば、ショートカットの女子高生。
「何だ、莉華かよ。びっくりさせんなよ」
それは、幼なじみで同じマンションに住む、鳥井莉華【とりいりか】だった。
「何その言い種。暗い顔してるから励ましてやろうと思ったのに」
「あー、そうですか。それはどうもご親切に」
「…心がこもってない」