蒼色のヴァンピール


莉華はそう言って面白くなさそうに鼻を鳴らした。



「ってかさ、お前早くねぇ?」



いくら同じマンションとはいえ、いつもならこの時間に莉華と鉢合わせすることはほとんどない。

俺が首を傾げると、莉華は誇らしそうに胸を張った。


「部活よ、部活。早めに部室に行って調べものしようと思って。万年帰宅部のあんたとは違って忙しいの、私は」


「部活って新聞部だっけ?」


「そう。今年から部長に就任したから」


「莉華が部長って、大丈夫かよ、その部活」


「失礼だねぇ。私は新聞記者目指してるんだよ?今も大スクープ狙ってるんだから」



そういえば、こいつ、小学生の頃から、熱心に壁掛け新聞とか作ってたっけ。


「何だよその大スクープって?」



よくそんなに長い間、一つのことに熱中できるよなぁなんて思いつつそう聞くと、莉華は嬉々として答えた。



「今はね、都市伝説『都会のヴァンパイア』の取材中なの」


「はぁ?何それ?」



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