蒼色のヴァンピール
転校生
「蒼、今日うちのクラスに転校生が来るらしいぜ」
「へぇ。こんな時期に?」
「さっき担任が案内してるとこ見たもん。なんか美少女っぽかったぞ」
朝のホームルーム前。
俺が席に着くと、前の席の安堂が妙に嬉しそうにそう言った。
「美少女、ねぇ」
「何だよ、その態度。あ、あれか。蒼には彼女いるもんな。Cクラスの鳥井だっけ」
「ばーか。莉華とはそういう関係じゃねぇよ。ただの幼なじみ」
安堂に半分からかわれて、俺はそう告げた。
「何だよ、そうなの?鳥井、けっこう美人だし、付き合っちゃえばいいのに」
「そういう簡単な話じゃねぇんだって」
莉華のことは確かに大切だけど、だからこそ今の関係を崩したくないのも事実で。
まぁ、つまりは俺が臆病者ってだけなのかもしれないけど。
俺の話はもういいよ、って言おうとした瞬間、同時にチャイムが鳴って、教室の引き戸が開かれた。