【短編】Little Kiss Magic 2~秘密と嫉妬~
―― その日の放課後
『桜が満開みたいだからあの桜を見に行こうか』
廉君がそう言い出して二人で校舎の北のはずれにある桜の木の下へとやってきた。
ここはあたしが廉君に恋をした場所。そして二人の恋が始まった場所だ。
この木の下で眠っていた廉君に思わず唇を寄せたときから、あたしたちの恋はゆっくりと静かに動き始めていた。
大きく枝を広げ零れんばかりの淡いピンクの花を咲かせている桜の下まで行くと廉君はあの日と同じように寝そべった。
胸の奥に大切にしまってあるあの日の情景が重なる。
「香織もおいで…綺麗だよ。」
優しいその声に胸がキュンとなってなんだか泣きたくなってくるのはどうしてだろう。
滲みそうになる涙をごまかしながら廉君の隣りに座り同じように視線を桜へと向けた。
春の柔らかい陽射しと抜けるような青空が桜の花を一層引き立てている。
風にゆれる枝が零れんばかりに咲き誇る花をゆらし、その花びらを雪のように散らしている情景がまるで夢の中のようで、あたしは溜息を付いた。
『桜が満開みたいだからあの桜を見に行こうか』
廉君がそう言い出して二人で校舎の北のはずれにある桜の木の下へとやってきた。
ここはあたしが廉君に恋をした場所。そして二人の恋が始まった場所だ。
この木の下で眠っていた廉君に思わず唇を寄せたときから、あたしたちの恋はゆっくりと静かに動き始めていた。
大きく枝を広げ零れんばかりの淡いピンクの花を咲かせている桜の下まで行くと廉君はあの日と同じように寝そべった。
胸の奥に大切にしまってあるあの日の情景が重なる。
「香織もおいで…綺麗だよ。」
優しいその声に胸がキュンとなってなんだか泣きたくなってくるのはどうしてだろう。
滲みそうになる涙をごまかしながら廉君の隣りに座り同じように視線を桜へと向けた。
春の柔らかい陽射しと抜けるような青空が桜の花を一層引き立てている。
風にゆれる枝が零れんばかりに咲き誇る花をゆらし、その花びらを雪のように散らしている情景がまるで夢の中のようで、あたしは溜息を付いた。