夢を正夢にする夢
心なしか、楠木は震えているように見えるんだけど…

「うん!! 最高だわ岬っちゃん!! 一瞬考えたけど、よくやったわ…私に勝つ日も近いようね…」

目をつぶって、拳を握って響加は話す。

何かボケたのか私??

私1人で分からないでいるような気がする…

そろっと楠木を見ると、やっぱり震えていた。笑いを堪えて…

「いや、俺は相当時間がかかったぜ。どういう意味か…なくなくないって…つ、つまり・・・」

「正夢だよそれは! と、言いたかったのね、岬っちゃん」

「そうだよ~~」

解からない…

まぁ、雰囲気で笑うってよくある事よね…

気にしないでおこう。

楠木が笑うなら、幾らでも言うけどさ~~☆

「あぁ笑った… あ、やべ…」

黒板の上にある時計を見て、急に慌てて立ち上がる。

楽器の練習の時間か何かあるのかな…?

「ん? 練習だよ練習」

私の視線に気がついたのか、楠木はそう答えてくれた。

その、洞察力が素敵よ楠木☆

口に出しては、言えないけどね…

楠木は、カッパエビセンを拳にガッツり掴んで、「ありがとな」とお礼を言ってくれた。

楠木が笑っていたら、とにかく、ニコニコの私だ。

「あ、そうそう…お前、亀って好きだったっけ?」

どきっ☆

何か解からないけど、好きって言葉に反応☆

だって、今、私が考えていた事だから…(はぁと)

「いや、あまり…」

ニヤニヤ笑顔が、何とかニコニコ顔に変換しようと必死になりながら、私は答えた。

「だよなぁやっぱり…」

そうつぶやいて、楠木は走るように去っていった。




そして、また2人に戻った私と響加は…

見つめあう…

「楠木君ったら、最近、最後のセリフが意味不明よね…」




うん。

否定は、出来なかった…。
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