夢を正夢にする夢
少し、離れて、彼の後ろをついて歩く。
4階の階段を上り、屋上に続く扉を、楠木は開く。
ガチャガチャ…
屋上は、開放禁止になっている。
開かない扉を背に付けて、楠木はこっちを見下ろした。
そして、少し恥ずかしそうに、はにかんだ笑みを見せた。
「しょうがない…ここで、いいか…」
笑顔のまま、楠木は、私においでおいでと手招きした。
階段の途中にいる私は、楠木の顔を見て頷いた。
首が、限界に来ていた・・・(笑)
首に手をやり、下をむいたまんま、一歩一歩階段をのぼる私。
上まであがり、楠木と同じように、扉に背を預けた。
階段が見える。
下には、誰も居ない。
「話は聞いていたと思うんだけどさ…」
楠木は、階段に背を預けたまま、そう言葉を切り出した。
来たっ
来たわよっっ
囮作戦の一部だわ!!!
手の込んだこんだ事をするのは、きっと、火野上の策略に違いない!!
そう思っていても、胸は高鳴る一方だった…。
「聞いているけどさ…」
「うん」
そうして…
楠木は、扉に背を預けたまま、私の頭に…
その、骨骨しい手のひらを…ぽんっと…置いた…