夢を正夢にする夢
Ж

風が強くなってきた。

雨が降っているわけでもなく、ちょっと湿っぽい風…

まるで、長いベランダかのような手すりの柵に背を預けて、彼を見る。

楠木は…髪を切っていた。

首筋に残していていた髪も、鼻筋まであった前髪も切って、短髪になっていた。

2人並んで、会話をする。

学校に来たそうそう、彼が話した内容は…

「7月、夏休みに入ったその次の日な…500円でオヤツつきだから、絶対来いよお前ら…」

ライブ告知だった。

勿論勿論☆行くよ行くに決まってる☆

それで髪きっちゃったんだね!!

でも、それも素敵だよ~~

はぁと。

はしゃぎまくる私…の、心の声。

「行かせて頂きますとも、勿論www ねぇねぇ、どこでやるのぉ」

「あ? どこって、……ここ…」

ん? ここ?? あぁ…学校か…

納得。

納得ついでに、手にしていたポッキーを一本摘んで楠木に渡した。

そしたら楠木は、そのポッキーを指でつまんで、私を見る。

「あ、そうそう、お前さ………高い所好きか?」

ボト…

弁当を食べ終わり、お菓子を楠木と~~~と持っていたポッキーを、思わず落とした。

あたふたあたふた…

ど、どうしようっ

「ぬぅぁ!? ダメだよダメ!! こ、高所恐怖症…」

「…だ、だったよなぁ」

「あ、いや何?…何々? 何で? ど、度合いによるよ度合いに☆」

「ん?あ、いや…手伝って貰おうと思ったけど…ま、いいや…岬、小さいし……うん。じゃあなっ」

そう言って、楠木は走るかのように去っていった。

走るように…というか、…どちかっと言うと…逃げるように…と見えなくもないけども…

ニコニコ手を振る私。

でも、心の中はがっくし。

楠木の姿は、もう見えなくなっていた。




「ううん…見事なまでに2人の世界になっていたわね…」

いきなり、隣に居た響加が喋った!!
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