魔女の報酬3~封呪の守り人~
けれど、それはやってこなかった。
「何、やってるのさ」
聞き覚えのある女性の声に目を開けると、視界は紅いものに覆われていた。
波打つ、紅い、燃えるような髪。
「ローデアさん?」
女性が振り向く。紅い髪のなかから、細面の白い顔がのぞく。
潤んだような艶を帯びた緑の瞳が、彼をにらむ。
「あれは、なんなのよ」
結界のほころび目は、かき乱された水面と同じに、その向こうにあるものの形を明確にしない。ただ、ぼんやりとした輪郭は、かなり大きい。
「わかりません」
「わからない、だって」
文句を言いかけて、彼女は視線を元に戻す。ひとときは二人の力で押し返されたそれが、再び押し出てこようとする。
「冗談じゃない」
二人並んで、力を集中する。
「ローデアさん。どうして、ここに」
少し余裕が出てきたヴィゼが尋ねる。
「あんたは、森の番人。あたいは封の番人だ、忘れたかい?」
明晰な声が告げる。
「それは……」
「封の主に異常が起これば、森の結界に異常が起こったということ」
はっとして、ヴィゼは彼女を見やった。
「何、やってるのさ」
聞き覚えのある女性の声に目を開けると、視界は紅いものに覆われていた。
波打つ、紅い、燃えるような髪。
「ローデアさん?」
女性が振り向く。紅い髪のなかから、細面の白い顔がのぞく。
潤んだような艶を帯びた緑の瞳が、彼をにらむ。
「あれは、なんなのよ」
結界のほころび目は、かき乱された水面と同じに、その向こうにあるものの形を明確にしない。ただ、ぼんやりとした輪郭は、かなり大きい。
「わかりません」
「わからない、だって」
文句を言いかけて、彼女は視線を元に戻す。ひとときは二人の力で押し返されたそれが、再び押し出てこようとする。
「冗談じゃない」
二人並んで、力を集中する。
「ローデアさん。どうして、ここに」
少し余裕が出てきたヴィゼが尋ねる。
「あんたは、森の番人。あたいは封の番人だ、忘れたかい?」
明晰な声が告げる。
「それは……」
「封の主に異常が起これば、森の結界に異常が起こったということ」
はっとして、ヴィゼは彼女を見やった。