魔女の報酬3~封呪の守り人~
「姫様! ここにいらしたんですか?」

 飛び込んできたのは、女官長のオルダだった。痩身のいかめしげな女性である。メディアとロランツには目もくれず、シャリアに詰め寄る。

「げっ」

 かわいらしげな顔に似合わない声を上げるとシャリアは逃げようとしたが、すばやく回り込んだ兄にしっかりと捕まえられた挙げ句、女官長に引き渡された。

「まあ、殿下ありがとうございます」

「お兄様の、いじわるー!」

「いじわるなのは、お前だろう」

(いじわるって?)

 いったい、なんの意地悪を妹が兄にたいして行ったのか、メディアにはいまいち理解できないが、女官長はそんな兄妹の会話など、まるで斟酌せずに説教を始めた。

「そんな格好のままで、うろつき回っては、品位を疑われます。草原ならいざ知らず、宮廷ではきちんとした格好をして下さらなければ」

「ちょっと待ってよ。それなら、メディアお姉様だって」

 女官長に捕まえられたまま、シャリアは抗議する。

「え? 私?」

 とんだとばっちりにメディアは身を硬くする。

「そうですわね」
 女官長は、頭のてっぺんからつま先までメディアを検分するように眺め回した。

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