魔女の報酬3~封呪の守り人~
 けれど。

「支障?」

 見つめてくる青い瞳に促されるように、メディアは口を開く。ここに長く住むつもりなら、ロランツの協力を得なくてはどうにもならないだろう。

「ほんとうは、魔法使い以外の人に言ってはいけないんだけど、誰にも言わないと約束できる?」

「君がそう望むなら」

 言葉の軽さに反して、そこに真剣な響きを聞き取ったメディアは話すことにする。

「宝石や金属のなかには、力を発するものがあるのよ。魔法を吸収したり、発現を邪魔したりできるの。だから、魔法使いはたいていアクセサリーそのものを身につけない。侍女たちは、着飾らすのに必ず宝飾類を身につけさせようとするじゃない。それは困るのよ」

「なるほど、だから、君は僕が宝石を贈っても、見向きもしなかったわけだ。だが、院長は、見事な紫水晶のサークレットを身につけているだろう?」

「あれは特別製。逆に魔力を増幅する働きもあるし、でも、それだけに危険でもあるのよ。それと、もうひとつは魔法使いの代表が、そんなものを身につけていれば、だれも宝石や金属が魔法使いの弱点だとは思わないじゃない」

「そうか、よく考えてあるな」

 ロランツは考え込むように、顎に手を当てた。

「中には、と言ったね。じゃ、だいじょうぶなものもあるわけだ」

 メディアは思わずロランツを凝視する。やっぱり、この人も油断ならない。

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