魔女の報酬3~封呪の守り人~
メディアが城からいなくなっていた。
それは、今更驚くべきことでもなかった。彼女はよく城を飛び出しては、魔法院に逃げ帰っていた。その度に落ち着いた頃を見計らって迎えに行ったものだ。
けれど、さすがにこんな時間に飛び出すことはなかったし、二週間前に起こった事件以来、めっきり魔法院に行く回数も減り、外出するにしても、必ず行き先を告げていった。彼女なりに、気を使っているようだった。
それが、急にいなくなってしまった。
魔法院に連絡を取る一方、城内くまなく探させたが、メディアはいなかった。
ロランツは胸騒ぎをどうにもとめられなかった。
残されていた赤い髪。
彼女のものではないのはすぐにわかったが、それはまるで不吉の象徴のようだった。
メディアは強い。ドラゴン退治の魔女だ。その彼女の身の上に、何か危険が起こったなどということはないはずだ。
なのに、襲ってくる理不尽な不安と焦燥。
それに支配されないように、何も感じないように心を律した。
宮廷では日常的にしていたこと。難しくもないことのはずだったのに、ひどく苦しかった。
そして、彼女は魔法院にすらいなかった。
ラムルダにも彼女の居場所がわからないと言う。
赤い髪の持ち主は、彼女の母。
残された黒い羽根の変化を見たとき、ロランツは確信していた。メディアの身に何かあったのだと。のっぴきならぬ事態だと。
ならば、することはひとつ。
何があっても、たとえ自分の身に代えても、彼女を見つけ出し、救い出さねばならない。彼女を失うなど、考えることすらとてもできないのだから。それほどに、愛しく大事な人なのだから。
それは、今更驚くべきことでもなかった。彼女はよく城を飛び出しては、魔法院に逃げ帰っていた。その度に落ち着いた頃を見計らって迎えに行ったものだ。
けれど、さすがにこんな時間に飛び出すことはなかったし、二週間前に起こった事件以来、めっきり魔法院に行く回数も減り、外出するにしても、必ず行き先を告げていった。彼女なりに、気を使っているようだった。
それが、急にいなくなってしまった。
魔法院に連絡を取る一方、城内くまなく探させたが、メディアはいなかった。
ロランツは胸騒ぎをどうにもとめられなかった。
残されていた赤い髪。
彼女のものではないのはすぐにわかったが、それはまるで不吉の象徴のようだった。
メディアは強い。ドラゴン退治の魔女だ。その彼女の身の上に、何か危険が起こったなどということはないはずだ。
なのに、襲ってくる理不尽な不安と焦燥。
それに支配されないように、何も感じないように心を律した。
宮廷では日常的にしていたこと。難しくもないことのはずだったのに、ひどく苦しかった。
そして、彼女は魔法院にすらいなかった。
ラムルダにも彼女の居場所がわからないと言う。
赤い髪の持ち主は、彼女の母。
残された黒い羽根の変化を見たとき、ロランツは確信していた。メディアの身に何かあったのだと。のっぴきならぬ事態だと。
ならば、することはひとつ。
何があっても、たとえ自分の身に代えても、彼女を見つけ出し、救い出さねばならない。彼女を失うなど、考えることすらとてもできないのだから。それほどに、愛しく大事な人なのだから。