魔女の報酬3~封呪の守り人~
「私も行く」
シャリア姫である。
「それは、困ります」
王子だけでも、難題なのに、さらにもう一つ問題を抱え込む余裕など、ラムルダにあるわけがない。
「シャリア、君は残れ」
助け船を出したのは兄王子だった。
「いやよ。お姉様をこのままにしておけないわ。それに、この場合、私の方がお兄様より役に立つと思うわ」
それは、たぶんほんとうだった。
草原のあまたある部族の中でも、神族とも称えられるフィアール。
かの一族は、不思議な力を持っていた。
ある種の貴石には、幾漠かだが力が宿っている。
残念ながら、ふつうの魔法使いには石の力を上手く引き出すことはできない。それどころか、石に内在する力は魔力に反発しがちで、逆に悪影響を被ってしまうことの方が多い。
が、フィアールは違う。
己自身は魔力のかけらも持っていないにかかわらず、自在に石から力を引き出せるという、特異な才能を持っていた。
その力ゆえに、彼らは草原の王族であり、ウィルランドの南の守りの要でもあった。
魔法院の古い文献には、かれらフィアールの一族を<魔石使い>と呼んだものもある。
もともと一つの石に宿る力はそれほど大きくはない。<魔石使い>は魔法使いほどの力を発することはできない。子供だましの、あってなきほどの力にすぎない。
だが、彼らは代々伝わる奇妙な石を護持していた。彼らの崇める創世の女神から与えられたという、炎晶石と呼ばれる石。
氷のかけらのように冷気さえ帯びて見えるのに、その中心に燃え盛る炎を宿した、まさしく魔石と呼ばれるにふさわしい貴石。
シャリア姫である。
「それは、困ります」
王子だけでも、難題なのに、さらにもう一つ問題を抱え込む余裕など、ラムルダにあるわけがない。
「シャリア、君は残れ」
助け船を出したのは兄王子だった。
「いやよ。お姉様をこのままにしておけないわ。それに、この場合、私の方がお兄様より役に立つと思うわ」
それは、たぶんほんとうだった。
草原のあまたある部族の中でも、神族とも称えられるフィアール。
かの一族は、不思議な力を持っていた。
ある種の貴石には、幾漠かだが力が宿っている。
残念ながら、ふつうの魔法使いには石の力を上手く引き出すことはできない。それどころか、石に内在する力は魔力に反発しがちで、逆に悪影響を被ってしまうことの方が多い。
が、フィアールは違う。
己自身は魔力のかけらも持っていないにかかわらず、自在に石から力を引き出せるという、特異な才能を持っていた。
その力ゆえに、彼らは草原の王族であり、ウィルランドの南の守りの要でもあった。
魔法院の古い文献には、かれらフィアールの一族を<魔石使い>と呼んだものもある。
もともと一つの石に宿る力はそれほど大きくはない。<魔石使い>は魔法使いほどの力を発することはできない。子供だましの、あってなきほどの力にすぎない。
だが、彼らは代々伝わる奇妙な石を護持していた。彼らの崇める創世の女神から与えられたという、炎晶石と呼ばれる石。
氷のかけらのように冷気さえ帯びて見えるのに、その中心に燃え盛る炎を宿した、まさしく魔石と呼ばれるにふさわしい貴石。