魔女の報酬3~封呪の守り人~
はるか昔、荒ぶり猛る灼熱の劫火に世界は融けただれ、形を得ることもなかった。
けれど、その凄まじさゆえに炎を愛し、ためらいもなく我が身に抱いたのは、蒼き氷の女神。炎が我が身を焦がすことになることすらかまわずに、身のうちに取り込んだ。
灼熱の炎は氷の女神の力に相殺され、世界は冷え固まり形を得た。
そうして、女神は炎との子を産んだ。
それがフィアールのはじまり。そして、世界のはじまり。
(だから、私たちはいつでも炎に惹かれる。炎を愛した女神の子だから……)
「お兄様」
おそるおそると言った感じで、シャリアが話しかける。
迷いのない冴え冴えとした青い瞳が、もの問いたげに妹に向けられた。
「草原を出るときに、お母様に頼まれたの。ドラゴン退治の魔女の相手をするのなら必要だろうって」
シャリアは小さな革袋を懐からとりだすと、兄に手渡した。
「これは」
中のものを確認して、ロランツが目を瞠った。
「もともとお兄様のものだから、使えるはずだって。使い方は……」
「わかるよ」
手の中のものを、ロランツは何とも感慨深げに見つめていた。ひどく懐かしい友人にでも出会ったような。
「また、会えるとは思わなかったな」
「お兄様……」
そんな兄の姿に、シャリアがふとため息をもらしたときだった。
「お待たせしました」
戸口からラムルダが姿を現した。
けれど、その凄まじさゆえに炎を愛し、ためらいもなく我が身に抱いたのは、蒼き氷の女神。炎が我が身を焦がすことになることすらかまわずに、身のうちに取り込んだ。
灼熱の炎は氷の女神の力に相殺され、世界は冷え固まり形を得た。
そうして、女神は炎との子を産んだ。
それがフィアールのはじまり。そして、世界のはじまり。
(だから、私たちはいつでも炎に惹かれる。炎を愛した女神の子だから……)
「お兄様」
おそるおそると言った感じで、シャリアが話しかける。
迷いのない冴え冴えとした青い瞳が、もの問いたげに妹に向けられた。
「草原を出るときに、お母様に頼まれたの。ドラゴン退治の魔女の相手をするのなら必要だろうって」
シャリアは小さな革袋を懐からとりだすと、兄に手渡した。
「これは」
中のものを確認して、ロランツが目を瞠った。
「もともとお兄様のものだから、使えるはずだって。使い方は……」
「わかるよ」
手の中のものを、ロランツは何とも感慨深げに見つめていた。ひどく懐かしい友人にでも出会ったような。
「また、会えるとは思わなかったな」
「お兄様……」
そんな兄の姿に、シャリアがふとため息をもらしたときだった。
「お待たせしました」
戸口からラムルダが姿を現した。