魔女の報酬3~封呪の守り人~
「封の主?」
ロランツは耳慣れない単語を繰り返した。
「今、現在、魔界を封じている結界の礎となっているものだよ、彼は。この森は魔界と接している。今は、その接触点を封じる結界には、ほころび目もないし、最近異常があった跡もないように見える。接触点が森の時空に影響を与えるのまでは防ぐことはできないけれど、結界に異常がないなら、物の行き来はできないはず。でも、ここ数ヶ月の間に『創られしもの』が姿を現したうえ、今度は、あの子の痕跡がここでぷっつりと途絶えている。だから、ラムルダは封の主の内側から結界を精査してるんだ」
ロランツとシャリアは思わず顔を見合わせた。彼女の説明は、半分くらいしかわからなかった。けれど、わかったこともある。それだけで、充分と言えば言えた。
「まさか、メディアは魔界にいると?」
ロランツの問いにカリナはうなずいた。
「ラムルダはそう疑っている。私もその公算は高いと思うよ」
ロランツは視線を森に転じた。
鬱蒼とした木々の生い茂る森。このどこかに封じられた魔界との出入り口があると言う。
その向こう側に彼女はいるのか。
(無事でいてくれ)
祈るように思う。
手間をかけて、たぶん、彼女の母親を人質にして、連れていったのだ。それは単に殺すためではないだろう。
けれど、その身がまったく安全であるかどうかまではわからない。
まして、魔界がどんなところなのか、メディアを連れていったらしい『創られしもの』にどのような意図があったのか、まったくわからない。
「王子様、ひとつ聞きたい。あなたは、あの子を、メディアのことをどう思っている?」
ロランツは耳慣れない単語を繰り返した。
「今、現在、魔界を封じている結界の礎となっているものだよ、彼は。この森は魔界と接している。今は、その接触点を封じる結界には、ほころび目もないし、最近異常があった跡もないように見える。接触点が森の時空に影響を与えるのまでは防ぐことはできないけれど、結界に異常がないなら、物の行き来はできないはず。でも、ここ数ヶ月の間に『創られしもの』が姿を現したうえ、今度は、あの子の痕跡がここでぷっつりと途絶えている。だから、ラムルダは封の主の内側から結界を精査してるんだ」
ロランツとシャリアは思わず顔を見合わせた。彼女の説明は、半分くらいしかわからなかった。けれど、わかったこともある。それだけで、充分と言えば言えた。
「まさか、メディアは魔界にいると?」
ロランツの問いにカリナはうなずいた。
「ラムルダはそう疑っている。私もその公算は高いと思うよ」
ロランツは視線を森に転じた。
鬱蒼とした木々の生い茂る森。このどこかに封じられた魔界との出入り口があると言う。
その向こう側に彼女はいるのか。
(無事でいてくれ)
祈るように思う。
手間をかけて、たぶん、彼女の母親を人質にして、連れていったのだ。それは単に殺すためではないだろう。
けれど、その身がまったく安全であるかどうかまではわからない。
まして、魔界がどんなところなのか、メディアを連れていったらしい『創られしもの』にどのような意図があったのか、まったくわからない。
「王子様、ひとつ聞きたい。あなたは、あの子を、メディアのことをどう思っている?」