魔女の報酬3~封呪の守り人~
薄暗い森の中にそれはあった。
シャリアは驚きに青い瞳を瞠った。
「なんかすごい」
垂直に立てられた巨大な絵のようにもみえないこともない。
ゆうに大の大人の身長の四、五倍はあろうか。
絵の内容は、森とは全く関係のない、どこまでも続く荒野を描いたようにもみえる。
大きさをのぞけば、なんのへんてつもない風景画と言えないことはない。
そう、水の表面に描かれてでもいるかのように、絵が揺れ動いていなければ。
淡い輝きが、暗い森に光を与えていなければ。
そして、絵を縁取る額縁が、ばちばちと音を立ててはじける金の火花でなければ。
「これが結界のほころび目か」
さすがのロランツ王子の声音にも、喫驚の念が混じっている。
「やはり、ここで待っていてはくれませんか」
ラムルダは無駄だろうと思いつつ、二人に頼んでみる。
「このむこうには、なにがあるかわからない。あなた方の身の安全を保障できません」
「そんな必要はないと言ったはずだ」
王子の答えは、予想以上にすげない。
さらに。
「そうそう、それになんかわくわくするし」
草原の姫君は、兄以上に父の血を引いているらしい。
あのおもしろければ何でもよしとしてしまう、人騒がせな王と同じ色の青い瞳が輝いている。なまじ見かけがかわいいだけに、あの王よりも手に負えない気がした。
魔法院の院長は、本日、何度目かしれないため息を落とす。
「わかりました。では、参りますよ」
「あ、待ってください」
三人の姿は、結界のほころび目の中に飲み込まれた。
シャリアは驚きに青い瞳を瞠った。
「なんかすごい」
垂直に立てられた巨大な絵のようにもみえないこともない。
ゆうに大の大人の身長の四、五倍はあろうか。
絵の内容は、森とは全く関係のない、どこまでも続く荒野を描いたようにもみえる。
大きさをのぞけば、なんのへんてつもない風景画と言えないことはない。
そう、水の表面に描かれてでもいるかのように、絵が揺れ動いていなければ。
淡い輝きが、暗い森に光を与えていなければ。
そして、絵を縁取る額縁が、ばちばちと音を立ててはじける金の火花でなければ。
「これが結界のほころび目か」
さすがのロランツ王子の声音にも、喫驚の念が混じっている。
「やはり、ここで待っていてはくれませんか」
ラムルダは無駄だろうと思いつつ、二人に頼んでみる。
「このむこうには、なにがあるかわからない。あなた方の身の安全を保障できません」
「そんな必要はないと言ったはずだ」
王子の答えは、予想以上にすげない。
さらに。
「そうそう、それになんかわくわくするし」
草原の姫君は、兄以上に父の血を引いているらしい。
あのおもしろければ何でもよしとしてしまう、人騒がせな王と同じ色の青い瞳が輝いている。なまじ見かけがかわいいだけに、あの王よりも手に負えない気がした。
魔法院の院長は、本日、何度目かしれないため息を落とす。
「わかりました。では、参りますよ」
「あ、待ってください」
三人の姿は、結界のほころび目の中に飲み込まれた。