サヨナラのカタチ
~特別編~
【久美目線】
知らなかった。
全然、知らなかった。
良次が私の浮気に気付いていたことなんて。
いつも、いつだって、
どんなときも、どんなときだって。
良次は笑顔で、私には優しくて。
そう、一言で言えば
『最高の彼氏』
『自慢の彼氏』
だった。
友達にだっていつも良次のことをうらやましがられた。
…なのに。
それなのに私はどうして、あんなことをしてしまったのだろう。
多分、ほんの出来心だったんだと思う。
良次と付き合い始めて半年がたった頃。
友達だった男と寝た。
それからも何回か関係を持った。
私は、最低だ。
あんなにも大事にしてくた良次を裏切ったんだから。
そう。
だから『さよなら』
そう言われたのはきっと…当然の報い。