サヨナラのカタチ
1人になったレストランの席で私は必死で涙を止めようとしたいた。
だって、こんな顔じゃここを出ていくこともできないんだから。
そして、ふと、気付く。
テーブルの上に黒いハンカチが置いてあることに。
そっとそれに手を伸ばす。
これ…良次のハンカチだ…
そう思うとだいぶ勢いがなくなっていた涙がまた、止まらなくなって。
良次のバカぁ…
そんなことされたら忘れられなくなっちゃうじゃん。
最後まで優しいなんて、
どんだけいいオトコなのよ…
後悔ばかりが押し寄せて。
もう私の胸は押しつぶされて。
良次のハンカチを握りしめたまま、
声を押し殺し、泣いた。
ごめん…良次。
ごめんね…良次。
そう、何度も心の中で呟く。
良次を追いかけることができたら、どれだけいいだろう。
でも、私にはそんなことはできない。
だって、良次を傷つけたのは
まぎれもなく、私なんだから。