サヨナラのカタチ

FILE2:健太と詩織






―伝えられなかった恋。―



「付き合ってほしいんだ」


「…うんっ」


頬を赤く染め、満面の笑みで返事をしたのはこの私。



そう。

この告白は今から半年前のこと。


相手は同じクラスの健太くん。

クラスの人気者で、

高校に入学してから密かにずーっと憧れていた。


そんな私に転機が訪れたのは2年生になったとき。

偶然にも同じクラスで。

しかも席は隣。


照れ屋で恥ずかしがり屋の私は、

自分から声をかけることなんてできなくて。


授業中に居眠りをする健太くんをいつもそっと見ることが日課だった。


そして、ある日。

眠っていた健太くんが突然目を開いて。



「俺、そんなカッコイイ?」


と、少年みたいな笑顔で言ったことが始まりだった。



もちろん、健太くんは冗談でその言葉を言ったんだろうけど。

だけど、半分パニックだった私は


「…うん!」

と、答えたのだ。


そうすると健太くんの顔が真っ赤になって。

そして、私たちは顔を見合わせて吹きだしてしまった。


これは、授業中の出来事。

もちろん、先生に怒られたことは言うまでもないだろう。







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