サヨナラのカタチ
それ以来、私たちは日に日に会話が増えて。
いつしか連絡先を交換して、週に何回かメールする仲にまで発展した。
もちろん、それを知っている周りの友達にはかなりうらやましがられた。
だけどみんな優しくて、いつも応援してくれていた。
そんな最中、それは突然だった。
ある日の夜。
いつもはメールなのに、
電話がかかってきて。
「もしもし?」
『…もしもし?』
いつもと声が違うと感じたのは電話越しだったからだろうか。
そして他愛もない話を5分ほどして訪れた沈黙。
部屋でオロオロしていると
『付き合ってほしいんだ』
そう、言われた。
私の思考と動きは一瞬にして固まって。
そんなことも知らない健太くんは
『実は俺、入学式で詩織を見てからずっといいな、って思ってたんだ。
2年で同じクラスになって、しかも隣の席で。
運命かな、なんて大袈裟なこと思ったりしてさ。』
嬉しかった。
ずっと憧れていた健太くんが私と同じことを思ってくれていたことが。
『詩織。
俺、好き。
詩織のこと…好き。
だから付き合ってくれないかな?』
照れたようなその声も愛おしくて。
そのとき初めて自分が思っているよりずっと健太くんが好きだということに気がついた。
そして私は一言だけ。
「…うんっ!」
と、返事をしたのだった。