サヨナラのカタチ
そのまま去っていこうとする背中をまた私は呼びとめる。
「…友達に!
友達には…なれるよね?」
恐る恐る聞く私。
すると振り向いた健太くんは言った。
「当たり前だ!
お前以上に気の合う女友達なんていねーからな!」
そして、付き合っていたあの頃と同じ。
優しい笑顔を見せてくれた。
それから健太くんのいなくなった教室で私は声をあげて泣いた。
だって『女友達』って言われたんだから。
それはもう、『彼女』にはなれない、ってことだ。
終わったのだ。
今日で完璧に。
涙が止まらなかった。
最後に見せてくれたあの笑顔が何度も頭の中を駆け巡る。
そしてやっぱり『好き』だ、という想いにたどり着く。
―――『お前には笑顔と照れた顔がお似合いなんだから』
ふと、さっき言われたことを思い出す。
ねえ、健太くん。
私が笑顔でいたら、あなたは幸せ?
もし、幸せなのだとしたら。
私はいつでも笑顔でいようと思うの。
ねえ、健太くん。
立ち直るにはまだ時間が必要だけど。
でも、立ち直れた日が来たならどうかもう1度言ってほしい。
『お前には笑顔と照れた顔がお似合いだ』
って。