サヨナラのカタチ





「…詩織さん?」


だいぶ、涙が枯れてきた頃。

教室に優しい声の持ち主が入ってきた。



「…先生?」


最近元気がないとクラスでも話題の我がクラスの担任、良次先生。



「どうしました?

僕でよかったら話し相手になりますよ?」


優しく微笑む良次先生。

先生はいつだって、優しい。


だから生徒からの人気が厚い。



「…フラれたんです、今さっき」


良次先生の顔を見ているとどんなこともついペラペラと喋ってしまいそうになる。



「そうですか。

健太と別れたんですね」


「え?!なんで健太くんと…?!」


先生は私たちが付き合ってるってこと、知らないはずなのに。



「教師は、生徒が思ってるよりずっと、あなたたちのことを見ているんです。

だから分かりますよ、それくらい」


先生は余裕そうにふっと笑った。







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