サヨナラのカタチ





「実はですね。

僕も最近…彼女と別れたんです」


悲しそうに笑った良次先生の顔は、どこか、健太くんと似ていた。



「やっぱり。

だから元気なかったんですね」


「あれ?バレてしまたか?」


「クラス全員、気づいてましたよ」


そういうと恥ずかしそうに先生は俯いてしまう。



「…あの、無神経かもしれないんですけど、先生はどうして彼女さんと別れちゃったんですか?」


疑問に思ったことをそのまま口に出す。

先生は驚いたのか顔をバッと上げたが、

でも笑いながら答えてくれた。



「彼女が浮気性だったんです。

僕はずっと気づいてたけど、彼女を失うことが怖くて。


だから浮気から目を反らしてた。

でも、このままじゃダメだ、って思ったんだ。


僕も彼女もいい歳だからね」


「…あの、もしかして」


ある噂を思い出す。



「先生の元カノさんって…久美先生ですか?」


前々から保健室の久美先生と良次先生は噂になっていた。

その真相は分からなかったけど。



「そうか。

僕はさっき、教師は生徒が思ってるよりずっとキミたちを見ている、と言ったけど

生徒も僕たちを見ているんだね」


その言葉だけで十分だった。

やっぱり久美先生と良次先生は付き合っていたんだ。







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