サヨナラのカタチ
FILE3:翔馬と理子
―忘れていた恋。―
「ねえ、話、聞いてる?」
とある日の夕方のカフェ。
目の前の男を見つめる。
「あ、ああ、聞いてたよ。
そんで?いとこの…詩織ちゃんだっけ?カレシと別れちゃったのか?」
…ったく、興味もないくせに質問なんてしちゃってさ。
思わず溜め息が出た。
「あのさ、翔馬。
そろそろ、はっきりさせない?」
俯いていた翔馬は私の言葉に顔を上げた。
その顔には『何を?』と書いてある。
「私たちの関係。
と、いうかこれからのこと」
またか…そう呟きが聞こえてきそうだ。
コイツの表情から察するに。
ああ、もうイヤだ。
コイツのことはなんでも分かってしまう。
言葉にしなくても、
思ってること、
感じてること。
分かりたくなくても…分かってしまう。