サヨナラのカタチ
「ねえ、翔馬」
翔馬とカフェで別れてから、
ウィンドウショッピングを満喫した私は家へ帰っていた。
夕飯を作るために。
そして、久々にちょっと張りきって作った料理たちをテーブルに並べ、翔馬と向かい合う。
翔馬は『いただきます』もなしに箸を持ち、
サラダに手を伸ばす。
次にハンバーグ。
『おいしい』の一言もない。
同棲を始めた頃はいつも言ってくれていたのに。
ただ、もう期待はしない。
だけど、
せめて『今日は豪勢だな』
くらいのことは言ってほしかった。
最近、手抜き気味だった私が久々に腕をふるったのだ。
なぜ、って?
そんなの…決まってるじゃない。
私と翔馬の
『最後の晩餐』
だから。