サヨナラのカタチ
【翔馬目線】
「あのさ、私…ここ、出ていくね」
ある日の晩飯のときだった。
理子がこんなことを言ったのは。
「お前っ…それって…」
「うん、そう。
別れよう、ってこと」
シレッとした顔で理子は言い放つ。
「…なっ…?!
冗談、だろ?」
無理やり作った笑顔だからか、
顔がぐにゃりと歪んだ。
「冗談?
まさかあ!
こんな冗談、言えるワケないでしょ」
いつもと変わらない調子で答える理子。
「もう荷物はほとんどまとめてある。
だから明日の朝、翔馬がまだ寝てる時間に取りに来るね。
それで、合いカギは…明日、ポストに入れおくから」
理子は事務的口調で淡々とそう言うと
「あ、そうだ。
最後に1つだけ。
結婚するなら絶対に私よりいいオンナとしてね」