サヨナラのカタチ





なんて身勝手なオンナなんだ、アイツは。


そう思いながら

俺は静かに出て行く理子を見送った。



追いかけないのか?


…ああ、そうだな。

こういうとき、多分…つーか絶対、追いかけるのが正解なんだと思う。


だけど俺には追いかける理由が見当たらない。

好きかどうか聞かれれば、

そりゃあ、もちろん、好きだ。


好きじゃなきゃ、一緒になんて住んでない。


だけど、分かっていた。

理子が俺に愛想尽かしてること。


さすがに鈍い俺でもそれくらいは気づいてた。


だから、理子が『別れ』を選択することは

なんとなく感じてたし、

必然だとも思った。








< 34 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop