サヨナラのカタチ




「…ダメじゃん、俺」


思わず、1人のリビングで呟いていた。


でも、ホントにダメなオトコだな、俺って。

そんな簡単なことにも

理子がいなくなってからしか気付けなかったんだから。


これじゃあ、愛想尽かされたって

俺はなんの文句も言えない。



そこから俺の反省会は始まった。


まず、そもそも俺は理子にとっていいカレシだったんだろうか。

アイツの願いを叶えてやれていただろうか。

アイツを幸せに…していただろうか。



多分…その答えは3つとも『NO』だ。


俺はいいカレシなんかじゃなかった。

理子の願いを何1つ叶えてやれなかった。

理子を幸せになんてしてやれてなかった。


多分、理子はずっと悩んでたんだ。


俺とどう向き合っていくのか。

これから…どうしていけばいいのか。


今日、理子がカフェで俺に言った

『そろそろ関係をはっきりさせよう』



『これからのこと』

と、言うのは『結婚』を指していたんじゃないと思う。


理子は『結婚』なんて未来ではなく、


『明日』というとんでもなく近い未来を意識していたんだ。


俺なんかより、

数倍も数百倍も、強く、『明日』を考えていたんだと思う。







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