サヨナラのカタチ




反省会中の俺へメールが届く。

この音は理子からだ。



 理子
○月×日 21:18
――――――――――――――――

会社でトラブル発生

今日からしばらく忙しくなりそう。


この件が落ち着いたら
荷物取りに行くから
その前にまた連絡します



なんて理子らしいメールなんだろう。

アイツが絵文字も顔文字すら付いていないメールを送ってきた。


それはきっぱりした性格のアイツらしい。

『彼氏以外の男には絵文字、顔文字を使わない』

それがアイツのポリシー、というか決まりだった。


このメールが来たということは、

俺はもう、カレシなんかじゃない。


そうはっきりと告げられたようなものだ。



『了解。

仕事、頑張って』


それだけ送ってケータイを閉じた。


そう言えば理子、

一昨日くらいからケータイのデコレーションのデザイン変わってたな。


なんて関係もないことを思い出す。


前のはアイツっぽくなかったけど、

今のデザインは理子に似合っていた。



って、俺、何言ってんだろ。

理子、理子、理子、って。


これじゃあまるで未練たらたらのカッコ悪い男じゃないかよ。



…いや、事実、未練たらたらのカッコ悪い男か、俺は。










< 37 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop