サヨナラのカタチ
それからの俺は…
うん、そうだ。
多分…『抜け殻』その言葉がピッタリだった。
家から1歩外に出れば、
シャキッとするのだが、家に入った途端、すべてのやる気を失った。
まるで…家の中の何かに生気を吸い取られたみたいだった。
理子が遅く帰って来ることは週に1度くらいあった。
だけど俺はなんで遅くなったのか、理由は聞かなかった。
なぜなら、理子が必ず帰ってきてくれると思っていたからだ。
もし、アイツに男がいても、
理子は絶対に俺のところに帰って来る。
そんな曖昧でだけど絶対的な確信が俺にはあったのだ。
だけど、今や理子はもう…俺のところに帰って来ない。
多分、それが家に帰ると思い知ることになるから、
俺は『抜け殻』になってしまうんだろう。
今日で理子がうちを出て3日が経った。
どうやら明日の早朝に荷物を取りに来るみたいだ。
なんて長い、3日間だったんだろう。
久々に1人で過ごし見て気がついたことが3つある。
とんでもなく、大事な3つのこと。
どうして俺はもっと早く、このことに気づかなかったんだろう。