サヨナラのカタチ
その日、俺は寝ることができなかった。
と、言っても理子がうちを出て行ってからまともに寝れたことなんてなかったけど。
それでも寝ては起き、寝ては起き、と繰り返し、
何時間かは睡眠をとっていた。
けど今日は別だった。
全然、眠くないのだ。
今日も仕事を大変だった。
ものすごく疲れた。
それでも、瞼が閉じようとしない。
その原因はたった1つ。
理子だ。
理子がいつ来るかとドキドキしながら俺は待っているのだ。
なんて気持ち悪い男なんだろう、と我ながら思う。
そしてベットに寝転がりながら俺はまた、反省会を始めた。
理子がいなくなって気づいた3つのことの1つ。
『理子がいなきゃ、俺は何もできない』
不器用な俺は料理なんて苦手だし、
洗濯だってシワの伸ばし方が分からなくて、
Yシャツがあり得ないくらいシワシワになるし。
朝は起きれないし、
整理整頓もうまくいかない。
俺は本当に無力で。
そして子どもで。
理子に頼ってばっかりだった。
それが…アイツの、理子の、負担だったんじゃないだろうか。