サヨナラのカタチ
「…そんな。
なんで…浮気なんて…」
浮気なんて、だって?
「僕も浮気してた。
だから、言えた義理じゃないけど。
だけど、浮気なんて、って言える立場じゃないだろ、久美」
「けどっ!なんで付き合うときに彼女いたのに私に…!」
なんで私に告白したのか、ってか?
んなの決まってるだろ。
「僕は、好きだったんだ。
出会ったときも、出会ってからも。
それに…今も。」
久美は職場の先輩だった。
僕は久美に仕事を教わったんだ。
一緒に同じ仕事をしたり、残業したり。
そうしていくうちに僕は久美に惹かれた。
確かに、僕は久美に酷いことをしたと思う。
元カノときっちり別れていなかったのに久美に告白したんだから。
だけど、久美と付き合い始めてすぐに、僕は元カノと別れた。
「やめて…やめてよ。
そんなこと言うの…ズルイよ、良次」
そうかもしれない。
別れるってときに今もスキだ、そんなこと言うのはズルイと思う。
だけど、せめて知っていてほしかった。
僕がどれだけキミのことを愛していたのか。