サヨナラのカタチ
目を閉じていても感じる理子との距離。
アイツが少しずつ、俺に近づいてきて。
静かに頬にキスが落とされた。
もう、胸が苦しくて、苦しくて。
うまく息ができているのかさえ、分からなかった。
「…サヨナラ、翔馬。
元気でね」
理子は最後にそう呟くと、寝室を出て行った。
そしてすぐに玄関の扉が閉まる音がして。
ガシャッと鍵がポストに落ちる音がした。
ああ、終わった。
終わってしまった。
俺と理子の5年間が。
こんなにも…あっけなく、終わった。
急に涙が溢れてきて。
カッコ悪い話だけど、
鼻水たらしながら声をあげて泣いた。
イヤだ…っ
イヤだ…っ!!
俺は、別れたくなんかない…っ!
ずっと、
ずっと、
これからもずーっと、
理子に迷惑かけながら
じいちゃんになって、
最期を理子に看取られながら死にたかったのに。
理子…っ…!
「…理子っ!!!!」