サヨナラのカタチ
「久美、僕は全部知ってたんだよ」
「全部…?」
瞳いっぱいに涙をためている久美。
どうしてそんな顔をするんだよ?
僕を裏切ったのは久美だろ。
「そう。
僕たちが付き合って2年半。
その間、久美が何人もの男と浮気していたこと」
「…そんな」
そんな、じゃないよ。
僕が気づいていないとでも思っていた?
それは甘いよ。
多分、久美が思ってるよりずっと、僕はキミが好きなんだから。
「知らないフリ、したんだ。
何より久美を失うことが、僕は怖かったから。
だけど、このままじゃいけない、って思った。
僕も久美も、もういい歳だ。
だからこそ、久美の浮気を知らないフリするのはやめようと思った」
胸が熱くなる。
今にも涙が零れそうだった。
どうしてだろうな、久美。
キミにたくさん裏切られたのに。
それでも僕は、キミが好きで仕方ないみたいだ。