サヨナラのカタチ
「なあ、翔馬」
「ん?」
「前に話したじゃん。
俺に厳しい女の子のこと。」
「ああ。えーっと…奏ちゃん、だっけ?」
「うん、そう」
「その子がどうしたんだよ?」
「この間、また怒られてさ」
「また?
何怒られるようなことしてんだよー」
大学時代の友達、翔馬との飲みの席で奏の話は度々上がった。
俺が自ら進んで話題にしていたのだ。
理由は簡単だった。
奏が『珍しい』からだ。
今時の女子高生らしさは欠片もなくて。
俺に極端に冷たくて。
そんな生徒は俺の周りに奏しかいなくて。
だから、翔馬との話のネタにいつもしていた。
「なあ、俺、1つ思うんだけど」
「なんだよ?」
「奏ちゃん、お前のこと、好きなんじゃね?」
「んなワケねーだろ」
いつだか翔馬と交わした会話を思い出した。
んなワケない、って思ってたのに。
んなワケあったよ、翔馬。