サヨナラのカタチ
「ただいまー」
奏が帰ってから2時間後。
浩輔が疲れた顔をして帰って来た。
「お帰り」
「おっ!ウマそー!
食べようぜ!!」
机の上に並べられた今晩の夕食に浩輔は目を輝かせる。
こういう子どもっぽいところ、スキだなあ。
なんてしみじみと思いながらいつもの場所に座った。
「愛子」
「ん?」
「今日、奏ちゃん来ただろ」
「え、なんで分かるの?」
「匂いで分かる、匂いで」
「…キモイ」
「はあ?!なんだよ、それ!
ヒドくね?!」
「酷くない、酷くない」
私たちはいつもこんな感じだ。
浩輔のことを好きかと聞かれれば。
そりゃあ好きだ。
好きじゃなかったら一緒に住んでない。
でも、このままじゃいけないこともちゃんと、分かってる。
奏に言われるまでもなく、
いつまでもこうしているワケにいかないのは重々承知している。
妹に背中を押された身としては、
今日が勝負の日、というところだろうか。