サヨナラのカタチ
「浩輔」
「ん?」
「話があるの」
食後。
片づけを終え、ソファで寛いでいた浩輔に声をかけた。
「別れ話なら聞かないけど」
「大丈夫。とにかくこっち来て」
浩輔は不思議そうな顔をしながらイスに座った。
「あのね、浩輔」
「うん」
「いつになったら仕事、探すの?」
「またそれかよ。
俺は俺のタイミングで始めるからもう少し待って、っていつも言ってんじゃん」
不機嫌さ丸出しの顔で浩輔は私を見る。
「浩輔に就職する気がないなら…」
「別にそんなこと、一言も言ってないだろ」
「いいから聞いて」
そう言うと浩輔は黙って俯いた。
「その気がないなら別れてほしい」
その言葉を聞いた瞬間、浩輔は顔を上げた。
「はっ!?何いきなり言いだしてんの?」
「いきなりなんかじゃない。
ずっと考えてたことなの。」
ずっと…本当にずっと。
いつから考えていたのか分からなくなるほど思ってたことだ。
我ながら情けない。
妹に背中を押してもらわなければこんなことも言えないなんて。