サヨナラのカタチ




「お前はそういうヤツじゃないと思ってたのに…」


浩輔がポツリと呟く。


「どういう意味?」

「例え、就職してなくても、フリーターでも別れるなんていう道を選んだりするヤツじゃないと思ってた、って意味」


浩輔の顔は今にも怒鳴り散らそうかというくらい不機嫌で。

そして、この言葉で気づく。


私は、浩輔を甘やかしていたのだ。

私が、浩輔をダメにしたんだ。



「なんとでも言えばいいよ。

でも、このままズルズルいけば私も、浩輔も落ちぶれて行くばっかりだと思うの」

「んなこと分かんねーだろっ!」

「分かってるじゃない。

現に私がお金の面をカバーしてるせいで、浩輔はまともに就職しようとしてない。

もう落ちて行く一方だよ、これから」

「んなに…っ!」

「え?」

「んなに働いてるヤツが偉いのかよ!?

んなに稼いでるヤツが偉いのかよ!?


もういい!出て行く!!」


浩輔はそのままドアを開け、

本当に出て行ってしまった。


追いかける気力さえ、出てこなかった。

もっと早く。

もっと早くに話し合っていれば。


お互いに冷静で、

ちゃんとした話し合いができたかもしれない。


でも、もう遅い。

来るとこまで来てしまったんだ。






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