サヨナラのカタチ
次の日。
職場で同僚たちに元気がない、と言われ続けた1日を終え、マンションに戻る。
「…あれ?電気…」
なぜか部屋に灯っている電気。
まさか浩輔…
ドキドキしながらドアを押す。
カチャ、と音がして静かにドアが開いた。
そして玄関には浩輔のクツがあって。
やっぱり帰ってきてる…
「あ、お帰り」
いつも通り…ってワケではないが浩輔はソファに座っていた。
「うん…」
「あのさ、昨日の話なんだけど…
考え直してくれないか」
驚いて…いや、予想していたことだ、浩輔がこう言うことは。
「昨日あれだけ勝手なこと言ったくせに」
「うん、ごめん。
つい頭に血がのぼって」
ウソつき。
あれが本心だってことくらい私だって分かってる。
「なあ、愛子。
俺、お前じゃなきゃダメなんだ。
就活頑張るから。
だから別れる、なんて言うなよ…」
捨てられた子犬のような目で私を見つめる浩輔。
ああ、この表情。
昔っからこの表情に弱いんだ。
だってほら。
今も心がグラついて仕方ない。