サヨナラのカタチ




「…もし」


「ん?」


先に沈黙を破ったのは浩輔。

浩輔は俯いていた顔を上げ、私をじっと見つめる。



「もし俺がちゃんとした企業に就職したら」


「うん」


「もう1回、やり直してくれるか?」


「うん…多分。

でも私、浩輔のこと待ってるつもりないよ」


「それでいい。

ぜってぇ俺、良いオトコになってみせる。」


もし、そうなったら。

きっと私のことなんて眼中になくなるよ。


今の状態で私たちはギリギリ釣り合ってる状態なんだから。



「…やっぱ別れなきゃダメ?」

今さっき前向きに別れるようなことを言ったくせに浩輔はまたすぐにこういうことを言いだす。


「ダメ。

就職するんでしょ。

良いオトコなるんでしょ」


「でも俺…」


「次でも、って言ったらもう2度と会わないよ」


そう言うと浩輔は黙り込んで。

でも、すぐにまた口を開いた。


「愛子。最後に1つだけ、言っていい?」


「うん。何?」


「…愛してるよ、愛子」








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