サヨナラのカタチ




結局浩輔の物はほんの少ししかなくて。

荷物をまとめ終えると浩輔がツカツカと歩み寄って来た。


そしてガバッと私を抱きしめる。


「ありがとう、愛子」


耳元で囁かれる。

鳥肌が立った。

自然と涙が溢れた。


自分から別れを切り出したのに。

私はまだ、こんなにも浩輔がスキだ。



「泣くなよ、愛子。

どっちかって言うと泣きたいのは俺のほう」


そう苦笑いで言う浩輔は優しい顔をしていて。

やっぱり別れたくない、そう思った。


だから


「…へっ!?!?」

浩輔の頬を両手で挟む。

滲む視界。震える声。

でも、ちゃんと伝えようと思う。


「スキ、浩輔。

だからいいオトコになりなさい」








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