サヨナラのカタチ
久美の涙が引く。
多分、
『やっぱり別れるのはやめよう』
そう言われることを期待したんだろう。
だけど、ごめん、久美。
僕は決めたことは曲げたくないんだ。
それを1番知っているのはキミのはずだよ?
「だけど、僕は…もう久美に振り回されたくないんだ」
大ウソつきだ、僕は。
どれだけ振り回されたって構わない。
本当はそう思ってるのに。
だけど、このままじゃ僕のためにも、何より、久美のためにならないと思うから。
だから、勝手なこと言って、勝手なことして、ごめんね、久美。
「…じゃあ、僕は行くよ。」
立ち上がろうとした僕の手の上に久美は手を重ねた。
「お願い…行かないで。
行かないでよ…良次」
久美の涙はあまりにキレイで。
僕の決心が揺らぐ。
「私…良次がいないともっとダメになっちゃうよ
今まで良次がいたからセーブできたけど。
だけど、良次がいなくなったら…」
「やめろよ、久美」
自分でも驚くほど、低い声が出た。
「そんなこと言われたら僕…自分の答えが間違いだったんじゃないか、って思っちゃうだろ…っ」
気づくと自分の瞳からも大粒の涙があふれ出していた。