サヨナラのカタチ
封印した…はずなのになあ。
…なんだろう、この感じ。
分からない。
久々すぎて。
背筋をピンと伸ばし、
真っ直ぐ1点だけを見つめる。
誰かの呼吸音が聞こえてきそうなくらい静まり返る。
シュッと音がすると、
一直線に飛んで行き、見事的の真ん中を打ち抜く。
さすが、だなあ。
なんて思いながらも先輩から目が離せない。
1コ上の部長…新島達弥(ニイジマタツヤ)先輩。
最近、私がおかしくなった原因の人。
「なんか調子出ないな、今日は。
な、そう思わない?吉川」
いつの間にか近くにいた先輩にそう言われ、焦る。
「いや、私には絶好調に見えました…」
あんなにキレイにど真ん中に射ってたのに。
どうかどう、調子が出てないと言うのだろう。
「そうか?んー…じゃあ、気のせいか」
先輩は、ははっと笑う。
ああ、もうホントに。
なんなんだろう、この人は。
どうして私を、惑わせるんだろう。