サヨナラのカタチ
「あ、でもちょっと待って。
電話きた」
ブレザーのポケットからケータイを取り出す先輩。
「あ、浩輔先輩だ」
5年ほど前の卒業生の先輩。
新島先輩と浩輔先輩は仲がいい。
少しの間話すと電話を切った先輩。
「じゃ、お願いします」
千絵からケータイを受け取る。
「それじゃあいきまーす」
優しく照る太陽。
春の日差しってこんなに眩しかったっけ…
千絵のケータイの画面越しに見る2人は、
どう見てもお似合いで。
手が震えそうになるのを抑えて、
シャッターを押した。
「オッケーです」
我ながら完ペキ。
「じゃ、俺行くな」
「お疲れ様です」
先輩は颯爽と行ってしまう。
「良かったね」
「うん!香奈、ホントにありがとう!」
千絵の周りにはハッピーオーラが溢れていた。
「ごめん。ちょっとトイレ行ってくる」