サヨナラのカタチ





「で、優太先輩?

どうすることにしたんですか?」


その日の夜。


ついこの間高校を卒業したばかりの部活の後輩達弥と

海外研修に行く前の最後の飯を食うことになっていた。


「お前なあ…。

普通、前置きってもんを…」


「そんなもの俺と先輩の間に必要ないじゃないっすか」


あっさりとそう言い放つ達弥。

コイツとは6コも歳の差があるのに妙に気が合う。


そして、弟のようなコイツに僕は恥ずかしながら相談をしていた。



「先輩の優柔不断なところは前から知ってましたけど、

ここまでヒドイと思わなかったです」


「…何も言えないよ、僕は。」



おしぼりでグラスについた水滴を拭う。



「麻衣さんが可哀想じゃないですか。

このまま先輩が何も言わなかったら…」


黙り込む僕。

達弥に言われなくても分かってる。


…麻衣を悲しませることは。







< 94 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop