サヨナラのカタチ
「で、優太先輩?
どうすることにしたんですか?」
その日の夜。
ついこの間高校を卒業したばかりの部活の後輩達弥と
海外研修に行く前の最後の飯を食うことになっていた。
「お前なあ…。
普通、前置きってもんを…」
「そんなもの俺と先輩の間に必要ないじゃないっすか」
あっさりとそう言い放つ達弥。
コイツとは6コも歳の差があるのに妙に気が合う。
そして、弟のようなコイツに僕は恥ずかしながら相談をしていた。
「先輩の優柔不断なところは前から知ってましたけど、
ここまでヒドイと思わなかったです」
「…何も言えないよ、僕は。」
おしぼりでグラスについた水滴を拭う。
「麻衣さんが可哀想じゃないですか。
このまま先輩が何も言わなかったら…」
黙り込む僕。
達弥に言われなくても分かってる。
…麻衣を悲しませることは。