サヨナラのカタチ
「…って、俺が言えたことじゃないですけどね。」
「ん?それ、どういうこと?」
「前に話したじゃないですか。
後輩に好きな子がいる、って。
卒業式の日、チャンスがあって告白しようと思ったんですよ。
その子、わざわざ俺のこと追いかけてきてくれて、
それで、大学でも頑張ってください、って。
今、言える。今しかない、そう思ったんですけどね…
結局、勇気出なくて言えなかったんです。
そんな俺がさ、先輩に言えた義理じゃないんですけど。
でも先輩には俺みたいに後悔してほしくないんです。」
達弥は真っ直ぐに僕を見ていた。
こういう目…今の僕にできるのだろうか。
「僕はどっちの道を選んだとしても、
麻衣を傷つけてしまいそうで怖いんだ。
だからあと3日なのに…答えが出ない。
年下のお前に聞くことじゃないんだろうけどさ、
でも…お前なら、どうする?」