サヨナラのカタチ





「…って、俺が言えたことじゃないですけどね。」



「ん?それ、どういうこと?」



「前に話したじゃないですか。


後輩に好きな子がいる、って。

卒業式の日、チャンスがあって告白しようと思ったんですよ。



その子、わざわざ俺のこと追いかけてきてくれて、

それで、大学でも頑張ってください、って。


今、言える。今しかない、そう思ったんですけどね…

結局、勇気出なくて言えなかったんです。



そんな俺がさ、先輩に言えた義理じゃないんですけど。


でも先輩には俺みたいに後悔してほしくないんです。」



達弥は真っ直ぐに僕を見ていた。

こういう目…今の僕にできるのだろうか。



「僕はどっちの道を選んだとしても、

麻衣を傷つけてしまいそうで怖いんだ。


だからあと3日なのに…答えが出ない。


年下のお前に聞くことじゃないんだろうけどさ、

でも…お前なら、どうする?」









< 95 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop