雪花-YUKIBANA-
そのとき玄関のチャイムが鳴った。
……マユミ?やけに早いな。
不思議に想いながら出迎えると、
そこにはたしかにマユミが立っていた。
と、なぜかそのとなりには
「ちゅーっす!」
ヘラヘラ笑っているコバの姿。
「……なんでお前までいるわけ?」
「酔っ払いを運ぶなら、車が必要っしょ?」
「……まあ、たしかに」
マユミと、そしてコバを渋々居間に招き入れる。
奥の部屋から顔を出す桜子。
「あの……はじめまして」
「おわっ!何すか、この美少女!」
大声で食いついたのはもちろんコバだ。
「成瀬さんが同棲してる女の子って、もしかして彼女っすか?!」
「いや、同居ね」
「うああー!うらやましい!
あっ、初めまして。俺、小林っていいます。
コバって呼んでね」
「あ……桜子、です」
「桜子、あんまり相手しなくていいから」
僕の言葉なんか聞こえていないみたいに、
コバは桜子との距離をガンガンつめていく。
おまけに名刺なんかも勝手に渡していたりする。
おいおい、桜子が引いてるの気づけって。