雪花-YUKIBANA-

「ま、まじっすか？！え？店長と桜子ちゃんが？」

「うん」

と顔を赤らめてうなずく桜子。


「嘘でしょ？かなりショックなんですけど！」

「なんでお前がショック受けるんだよ」

「だって！ふたりはただの親戚だって言ってたじゃないすか！」

「そんなこと言ったっけ？」

「店長―っ？！」


ひとり混乱するコバを見て、僕と桜子は笑い声をあげる。


彼いわく、世の中のフリーの美女が、ひとりでも減るのは許せないらしい。

世の中の女たらしがそろって口にする屁理屈だ。


「……じゃあ、ふたりは親戚でも何でもなかったわけっすね」


「そ。まあ、たとえ親戚でも兄妹でも、俺は桜子のことを好きになってたと思うけどね」


「はいはい」


コバのあきれ顔に、また笑い声があがった。


こんな風になごやかに笑いあえる日が来るなんて、夢みたいだ。