雪花-YUKIBANA-
指の間から、ひらりと写真がすり抜けて、床に落ちる。
……嘘だ。
からからに乾いた喉の奥で、僕はつぶやいた。
……絶対、嘘だ。
けれど僕は、目をそらせずにいる。
まるで杭で打たれたように。“それ”から視線を外せずにいる。
笑顔で写る父と、桜子の母親。
その後ろで、
狂ったように花を咲かす、
桜の木から――……
――『この公園ね
お父さんとお母さんの
思い出の場所なの。
ふたりが出会ったのが
この場所なんだって』
嘘だ。
ねえ、嘘だよね?
ねえ。……桜子?