雪花-YUKIBANA-
「拓人!」
叔父が膝を折って、僕のかたわらにしゃがみこんだ。
床に落ちたままの写真を握りつぶすように掴み、叔父は言った。
「桜子を、好きか?」
「……」
「女としてあいつが好きか?」
……好きです。
か細い声で答え、僕はこうべを垂れた。
叔父の手の中にある写真が、視界に入る。
できるだけ強く、目をつむった。
いくらきつく閉じてみても、窓から差し込む明るすぎる太陽が、まぶたの裏を赤錆色に染めた。
蜩の鳴き声に混じって、叔父がつぶやいた。
「お前に、
きちんと話しておくべきことがあるんだ――」